ヒカリノミカタ

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良質な照明環境を 知る

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第3回 Requiem-さようなら白熱電球 レポート

開催概要

日時 : 2012年12月19日(水) 18:30-20:30
会場 : ちよだプラットフォームスクウェア

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今年は白熱電球のラストイヤー。
そこで今回のセミナーのメインテーマは、『Requiem(レクイエム)』とし、白熱電球が私達にもたらしたものを振り返りました。
先ずは、何故こんなタイトルをつけることになったのか、『Requiem(レクイエム)』という言葉の説明からお話を始めました。
が、早々に脱線・・・
いろいろな話の紆余曲折を経て、ようやく白熱電球のお話にたどり着きました。
お話した事柄は、ざっとこんな感じです。

・エジソンよりも前に30年間も白熱電球の基礎研究をしていた科学者
・日本で白熱電球の製造を始めた藤原市助
・普及し始めた頃の白熱電球の明るさは?
・あの名作映画のストーリーの伏線として描かれていたのは当時の電気と電球の普及の状況だった
・白熱電球の普及に戸惑い、時に苦言を呈すあの文豪のエッセイ
・斬新でエレガントなデザインの白熱電球照明器具(@旧朝香宮邸)22点を鑑賞
・なぜ白熱電球はなくなってしまうのか
・海外の白熱電球使用停止状況
・多くの消費者が誤解している、白熱電球の『あのこと』
・白熱電球はこんなに『良い』光源だったのに・・・(;_;)

このような白熱電球にまつわるエピソードを時間軸を追ってお話しいたしました。
確かに環境問題などを鑑みると、生産の縮小や使用の制限は避けられないでしょう。
しかしだからと言って完全に無くしてしまうには、あまりにも惜しい。
白熱電球は光学特性や経済性、技術の安定性に非常に優れており、他の光源では代わることができない唯一無二のランプだったのです。
そんなことを語りながら、一同しんみり・・・


【最近の照明の話題】 彩光色LED照明器具
先ごろ、パナソニックから『彩光色LED照明器具』が発表されました。
商品コンセプトは、「自然な光色で生鮮食料品を新鮮でおいしそうに見せる」というもの。
スーパーマーケットやデパート、コンビニなどの生鮮食料品売り場をメインターゲットにした商品です。

プレスリリースには、
・赤色成分のピーク波長を長波長側にシフト
・580nm前後の光の成分を調整
という、2つの技術改善で生鮮食料品を新鮮でおいしそうに見せると記されています。
ちょっと専門的な表現ですね。
そこで、先ずはこの2点がどの様なことを意味しているのかということを説明しました。
そして更に掘り下げて、なぜこの2つのポイントが『新鮮』で『おいしそう』に見えることにつながるのか、ということをお話ししました。
つまり、光が商品の色彩にどの様に関わり、人間の目はそれをどの様に捉え、認識、感じるのかというメカニズムを具体例を用いて説明してみたのです。
生鮮食料品を買うという経験は誰にでもありますから、皆さん「あっ、そうそう!」と、簡単に理解されたようでした。

それから、主宰 立川が今までに学び、実践してきた
・ある商品と光との関係の捉え方
・それを空間照明計画に活かす思考法
も併せてご紹介しました。
今回のセミナーに参加して下さった方のなかには、照明設計や空間設計のお仕事をしている方もいらっしゃいます。
些細なテクニックではありますが、是非、活用してくださいね。


【美しい照明空間の秘密を分析】 ファッションショップ@イスタンブール
既存の古い煉瓦のアーチ状の構造を残して作られたファッションショップです。
新たにデザインされた部分であるシンプルで洗練された真っ白なインテリアと、古い煉瓦のアーチのコントラストが印象的です。
何とこの空間、天井にはひとつも照明器具が設置されていないのです。
えぇ~っ、じゃあどうやって照明を?
というのは写真を見ていただくより他はないのですが、煉瓦のアーチ構造の存在と上手に調和させて設置しています。
それから、天井に唯一設置されているもの-ペンダントというよりは光を仕込んだオブジェ-が創り出す影が、空間に面白い効果を与えています。
このショップは、光ばかりでなく影も徹底的に計算し尽くされたユニークな空間です。




セミナーを受講された皆様の声

皆様からお寄せいただいたご意見、ご感想を紹介します。
(掲載のご了解を頂いた方のみ紹介させていただいております。)

■ レクイエム・・・白熱電球とはもうさよならだなァと思いながら
お話を伺いましたが、最後は未練たっぷりの話になってしまいましたね。
やはり電球の光は心地良く、代わりのきかないものだと実感しました。
ラストのトークセッションは業界の方のマニアックな(?)お話を聞くことができてとても楽しかったです。

■ 白熱球の歴史の話など、興味深い内容でした。
旧朝香宮邸、リニューアルしたら見に行きたいと思います。
次回も楽しみにさせていただきます。

■ 歴史の話から始まったお話ですが、
どのお話にも気づきがあり、とても今回もためになりました。
トークセッションもたくさんの話がきけて良かったです。
ありがとうございました。
また来ます。

■ いつものことですが、
体系的なまとめになる情報というのは原点に
もどれるのでありがたいです。

■ 庭園美術館の吊り照明器の吊りチェーン部に
コードがほとんど目立たないのにはビックリ。
今度、見に行ってきます。



さて、開催3回目にして早くも『Q&A』コーナーを『Talk Session』に看板をかけ替えました。
いや~、面白かったです。
今回のご参加が、照明、建築業界の方がほとんどだったので、業界の裏話や本音トークが炸裂しました。
非常に有意義かつ貴重な情報交換の時間になりました。
まあ今回は、近い業界の方ばかりでしたので『炸裂!業界トーク』で良かったのですが、照明とはあまり馴染みのない方々がご参加いただいても一緒にお話しをしたり、聞いて楽しんでいただけるような場にしてゆきます。
私も、お話の交通整理のスキルをしっかり磨いて参ります。

ご参加下さった皆様、誠にありがとうございました。
心より感謝申し上げます。